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「聖戦……?」
ボクは風から聞こえた声の言っていた意味が分からなかった。
聖戦……。どこかで聞いたことがあるような……。
† † †
風車の建ち並ぶ穏やかな村。この村では昔から風神ハーネルを奉っている。
風神ハーネルは風を司る神。その吐息は風となり人を撫で、時に竜巻となり人を襲う。
ハーネル村はそんな掴み所のない風と共に生きる村だ。
「ねぇ村長」
日が暮れ空に月が昇った時間。ボクと村長は同じ屋根の下で一緒に夕飯を食べていた。
「聖戦って何?」
それは昼間、風から聞こえたあの言葉。この村で一番ものしりな村長なら何か知ってる気がした。
このままじゃ頭の中モヤモヤして落ち着かないもんね。
「なぜそんなことを聞く……?」
「昼間、いつもの丘にいたら声がしたんだ。聖戦が始まる……って。これってどういう意味?」
村長はそうか……と呟き俯いていた顔を上げてボクを見た。
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