神託━我が子よ我が声をきけ━

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〔ふぅ。やっぱり人間は旨いなぁ〕 化け物は満足そうにそう言って、再び人を襲い始めた。 助けたい。だけど足が震えて動かない。誰か助けて……! 「やめんかぁ!!」 泣きそうになっていたボクの耳に、そんな怒声が聞こえてきた。 俯きかけた顔を上げると、いつのまに家から出てきたのか、村長が物凄い剣幕で化け物を睨んでいた。 あんな怖い顔、初めて見たや……。 化け物は突然の叫び声に一瞬だけ反応したけど、声の主が村長だと分かると再び村長から目を離した。 村長はけっこう年をとっていて身体も小さいし、肉付きもよくない。そんな村長より、若い村人を食べる方がいいと判断したんだろう。 「これ以上好き放題……すんな!!」 〔ゴアッ!?〕 村長は軽やかにジャンプすると、化け物の後頭部に凄まじい蹴りをお見舞いした。 化け物は地面を抉りながら吹き飛び、そのままうつ伏せになって倒れた。 確かに村長は護身術とか教えるくらい強いけど、化け物吹っ飛ばすとかアリ? 「ふんっ。思い知ったか」 〔グガガ……じじぃ……!〕 化け物は蹴り飛ばされた後頭部を擦りながら起き上がると、村長をにらみつけた。 ボクなら一発で気絶してるだろう村長の蹴りを受けて立つって、やっぱり化け物だ。
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