稽古にて

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 ピリピリと肌に刺さるような殺気に、僕は楽しくなった。  ついつい楽しくて、顔がにやけてしまう。 「---余裕だな、総司。」 「そうでもないよ?一相手に油断してられないから…ね!」  僕の一撃を一は真っ向から受け止めず、器用に受け流した。  すぐに、反撃の一撃を返してくる。  息を吐く暇さえない程、木刀を打ち合う。  ああ、何て楽しいんだろう。  でも、それは唐突に遮られた。 「---お前たち、いい加減にしたらどうだ?」  気配も感じさせず、彼は僕らの木刀を止めた。  素手で、受け止めたのだ。  驚いたのは一も同じな様子だ。  僕は不満げに、彼を見る。  折角の楽しみが台無しだ。 「---邪魔しないでくれない?黒冬君。」 「悪かった。---然し、お前たちが木刀と言えど本気でやり合うと周りに迷惑だ。」 「どうして?」 「見て分からないのか?」  黒冬君の言葉に周りを見渡すと、他の隊士たちは手を止めていた。  人垣が出来ているのはいつものことだ。  だが、それがどうしたのだろうか。 「---皆が稽古しないから?」  僕の言葉に、素直に反応する隊士。  そんな姿に、興が冷めてしまう。  僕はつまらなくなり、木刀を下ろした。 .
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