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「---はぁ。」
僕は彼の目の前でわざとらしく、ため息を吐く。
それにしても彼は相変わらず、気配を感じさせない。
いくら何でも、素手で木刀を受け止めるなんて無茶なことだ。
(もしかして…。)
僕は黒冬君の腕を掴んだ。
びくっと彼の身体が揺れ、顔をしかめた。
「やっぱり…君、手を痛めたんじゃない?」
「---痺れているだけだ。」
「俺と総司の太刀を受け止めたのだから、腕を痛めても無理はない。」
「時期治る。」
「じゃ、今はびりびりしてるんだ?」
「さっ触るな!」
「総司…。」
いつもつまらなそうな無表情の黒冬君が慌てている姿が面白くて、僕は彼の腕を触る。
稽古を邪魔された仕返し。
これ位なら許されるよね?
この後、騒ぎを聞き付けてきた土方さんに説教を食らった。
そんなつまらない一日の話し。
終.
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