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☆ ☆ ☆
夜の博麗神社。草木も眠る、丑三つ時のこと。刹那、博麗 霊夢は覚醒した。
心地好いまどろみの中を彷徨っていた霊夢に、痺れるように走った感覚。間違いない、強い力を持った何者かが、霊夢の張った結界を破ったのだ。
術者に敵の侵入を知らせる機能を持ったその結界は、見事に自身の役目を果たしたようで、敵がまだそこまで来ないうちに、霊夢はその存在に対処する術を編み出すことが出来た。
こんな時間に霊夢の家を訪ねる者など、数える程しかいない。そして、結界を力技で破るなどという、強引かつ子供じみた方法で神社にやって来る人物は、霊夢の知る限り、彼女――レミリア=スカーレット以外に思い付かなかった。
霊夢は霊力を巡らせた護符を数枚、戸口に貼りつけると、礼儀知らずな訪問者が罠にかかるのを、静かに待った。
それから間もなく、家の前で羽音がしたかと思うと、何かが物凄い勢いで引き戸を開け、家の中へ飛び込んできた。
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