王の冥い遠足

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  ☆  ☆  ☆ 「で、あんたは何をしに来たのかしら?」  ようやく解放されたレミリアは、今、霊夢とちゃぶ台を挟んで向かい合って座っている。 「さぁ? 私は何をしに来たのかしらね」 「はぁ?」  ――貴女を困らせたくて、と言ったら、この巫女は怒るのかしら?  レミリアは、不機嫌さを隠そうともしない霊夢の表情を見て、ついクスクスと可笑しそうな笑みを漏らしてしまう。 「……何が可笑しいのよ」  レミリアに笑われたせいか、ますます機嫌が悪くなる霊夢。 「別に、何でもないわ」  これ以上霊夢を怒らせると自分自身に危害が及ぶ可能性があることを知っているレミリアは、もう少し霊夢をからかっていたい気持ちに駆られながらも、それを何とか自制した。  ――ホント、霊夢は退屈凌ぎに丁度良い人間ね  博麗 霊夢という人物は、『人間にも妖怪にも興味がない』という特異な性格の為か、数人の例外を除いては、妖怪にばかり好かれる人間である。実はレミリアも、そんな霊夢に興味を持ち、すっかり神社の常連となってしまった妖怪の一人だったりする。  
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