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文化会館に戻った2人は、荷物を纏めてから事務局で楓が和室使用の許可を得てから、図書館と反対側の和室に入る。
再び楓は涼子の腕の傷を見て手当てを始めた。楓の手が優しく傷を覆うと、少しの光が現れて痛みが自然と和らいだ。
「本当にごめんなさい。私の不注意で」
「私が一瞬でも動じる事が無ければ良かったんだ。それに、今後の教訓にもなるよ」
「クリスの転生者が居れば……。治癒能力は専門外なので完全治癒は出来ませんが」
「ありがとう。クリス・ヴィエルジェか……確かにサポート居れば安心出来るよなぁ」
クリス・ヴィエルジェ。騎士団医療隊長として活躍した才色兼備の女性。瞬時にその治癒能力で周囲を助けてきた実力者。
「相手がレイラだけなら良いんだけどね。でも……あんな簡単に人に寄生出来るから倒しにくい」
「そうですよね。このリングの法則に従うならば12人居る転生者を集めれば……」
「星座、か」
楓は頷いて涼子の傷を塞ぎ終えると、正面に座る。涼子はゆっくりと腕を動かして神経を確認する。
「もしかしたら既に楓みたいに戦っている人も居るかもしれないね」
「先輩を見たときみたいに分かれば話は早いのですが……」
「靄が記憶の中の人物を見えなくしている。はぁ……探すのも一苦労」
溜め息を吐いた涼子。転生前の記憶に登場する人の顔に靄が掛かる。誰が身近に居る転生者なのかも予想が困難な状況であった。
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