#02 カミーリア女王国

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 カミーリア女王国。広大なその国の面積は17,075,000k㎡にも及ぶ。代々女性が王位に就き、この国を200年間も統治して来た。大河レイフィーストと豊かな国土に恵まれた大国である。  陽暦420年の春。女王国の中心に位置する王都にあるウィスティリア王宮では、新女王ルージュ・ウィスティリアが即位した。そして2年後には騎士団では初の女性騎士団長が誕生する事となる――。  “オリヴィア・スコルピオス”その名前は騎士団内だけでなく、王宮や政治を中心に行う議会にまで広まっていた。 「貴女がスコルピオス卿ですね?」  リヴィア城でもウィスティリア王宮からの新たなる騎士を迎えていた。涼しいその目元と、長身・中性的で冷静沈着な態度と男性でも適わない剣の腕が魅力的とされて、人気も高かった。  城外が騒ぐ中、リヴィア城内の柱廊を歩くオリヴィア。そのオリヴィアを呼び止めた男性騎士が居た。 「貴卿は?」 「私はロラン・サジテリアスと申します」 「……! 貴方があの弓の名手と名高いサジテリアス卿ですか!?」 「スコルピオス卿には劣りますよ。パレードはお嫌いですか?」  短髪の黒髪を逆立てているが、眼鏡のせいか、知的な印象を受けるロラン。話口調も落ち着きがある。 「あまり人が多い場所は好まないんです」 「そうですか。しかし、貴女は何れこの騎士団を背負う逸材となりましょう。たまには城下に出てみるのも勉強ですよ?」 「……? 何をご冗談を仰います」 「冗談じゃないですよ。私の目に狂いはない筈。では……」  ロランは丁寧にお辞儀すると、オリヴィアの前から立ち去った。カミーリア騎士団で5人にしか与えられない称号『エフィシエント・ナイト』を有する程の腕の持ち主であるロランに逸材と称されたとなると、オリヴィアは少し複雑な気分になった。
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