#02 カミーリア女王国

7/11
前へ
/87ページ
次へ
『私は女王よ。例え家族を犠牲にしてもこの国を、民を守らなくてはいけない。だから、オリヴィア……お願い、反逆者ナシェルを討って』 『オリヴィア……貴女に、騎士団……を……』  ルージュとジハードの言葉がオリヴィアの脳裏を過ぎる。 『オリヴィア。成し遂げようとした志は、ただ1回の敗北によって捨ててはいけない。勿論、挫折しそうな時も同じだ』  団長ギルバートがオリヴィア向けて言った言葉。大切な者達を守る為にオリヴィアは騎士になった。ルージュの覚悟、ギルバートの思い、ジハードの期待。それを守れずして終われないと、オリヴィアは叢雲を握り締め、一瞬にしてナシェルを貫いた。 「な……馬鹿な……私、が、こんな場所で……!」  ナシェルは刺されても尚、その剣をオリヴィアに刺す為に震える手で焦点を定めた。 「させるかっ! 取り押さえろ!」 「「はっ!」」  宮殿廊下側からロランと騎士2人が現れて、ナシェルの持つ剣を取り上げた。 「こんな場所で……こんな場所で終わってたまるかああああぁぁ!」  ナシェルは叫んだ後、一瞬にして事切れた。  騎士は手分けしてジハードとナシェルの遺体を運ぶ事となり、装飾や鎧を外して身軽にしてから慎重に運んだ。 「お前達、スコルピオス卿がナシェル殿を討った事、リヴィア城に帰還するようにと全騎士に伝えよ。後、ジハード副団長の死もな」 「はい!」  騎士2人は直ぐに東の離宮からウィスティリア王宮とリヴィア城向けて馬を走らせた。オリヴィアはロランの力を借りてなんとか馬に乗る。 「スコルピオス卿、お見事でした。とにかく急いで傷の手当てを。陣営があるクロス村に今クリス・ヴィエルジェ様が来ている筈です。急ぎましょう」 「申し訳ない……」  オリヴィアはやっと動く左腕で手綱を動かしてロランと共にクロス村を目指した。
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加