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『昨夜午後10時頃、同時刻に北海道北部、東京都南部、沖縄県北西部で連続無差別殺人がありました。凶器は鋭利な刃物で犯人は数人、計画的な犯行で…………』
フローリングが新しく、まだ新築と言うに相応しいくらいに掃除が行き届いているリビングダイニング。ワインレッドの薄い液晶テレビから流れる朝のニュースを、その部屋にある黒いソファーで横になって見ている制服姿の少女。
『3ヶ所の現場とも臓器が粉々になって発見されています。これに対し、警察・政府は…』
黒髪短髪で身長も170cmもある少女は、その中性的な顔立ちの眉を潜めて液晶画面のブルーシートに覆われた現場の映像を眺めていた。
「涼(リョウ) ちゃん! 早くしないと新学期早々、遅刻するわよ!!」
外から聞こえる大きい声。綺麗に室内まで通る声に、中性的な顔立ちの少女・鳳涼子(オオトリ リョウコ)は、テレビを消して通学用鞄を持って玄関に向かった。
「朝からご苦労様。奈々(ナナ)」
玄関の前に居たのは、サラサラの黒い長髪が風に靡き、その容姿端麗で真っ直ぐとした姿勢が気品と知性を印象深く持たせた。まさに大和撫子と言う言葉が相応しい少女・春ノ宮奈々(ハルノミヤ ナナ)は、涼子を見ると優しい笑みを浮かべた。
「また干物女になってたの? 髪がぐしゃぐしゃよ。もう全く……」
「癖っ毛だから気にしてないけどねー」
「ホントに普段適当なんだから」
「ギャップが魅力、じゃない?」
「馬鹿」
「はいはい」
戸締まり確認をした涼子は、奈々と共に洋風のイングリッシュガーデンから道路に出ると、互いに笑いながら学校へと向かった。
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