#01 紺碧の糸

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「その姿も貴女の仮の姿ね……レイラ・ウィスティリア」 「私は女王の身体を手に入れる……手に入れて私こそが王なのだと貴女達……私を封印したオリヴィアを跪かせたいの」 「いい加減にしたら? 今は2009年の日本。貴女や、昔の私達が居た時代も次元も……全く関係の無い国」 「五月蝿い! 全く関係ない? ならば何故、サラ・イクテュエスの力を持つ貴女が居るの! それにそこの子……オリヴィアに雰囲気がそっくりね!」 「全ては貴女のその復讐心の塊である魂を、永久に世界から排除する事。だから私達は此処に集う」  レイラ・ウィスティリアと呼ばれた女性は、魂が仮の姿を使用し、レイラ本人でない事。サラ・イクテュエスと呼ばれた少女は相手を排除する目的を告げた。そして、涼子はどうやら自分がオリヴィア・スコルピオスという人物に似ているという事を含めて、話の内容を瞬時に整理した。 「ふふ……まだ1人しか覚醒していないエレメントなど、恐れるに足りないわ。また同じ苦痛を……サラ・イクテュエス、貴様に味合わせてあげる」 『グルルルルゥゥゥ……』 「……っ!?」  涼子の真後ろに現れたのは熊のような大きな体格に、逆立つ毛と鋭い鉤爪を持つ異世界の生物。未確認生物とでも言うのだろうか、涼子は恐怖心を煽られた。 『3ヶ所の現場とも臓器が粉々になって発見されています。これに対し、警察・政府は…』  朝のニュースが頭を過ぎる。人間はそこまで強い力は無いし、死亡確認ができれば大抵そのまま。このニュースの被疑者は目の前に居るケモノではないのかと涼子は思った。 「さぁ、ディアーブルよ! その名の如く、悪魔となりて喰らい尽くせ!」 『グルルルルゥゥゥ!!』  雄叫びを上げたディアーブルと呼ばれたケモノは、涼子向かって鉤爪を振るう。手を出せないように、レイラは少女を攻撃した。 「鳳先輩っ……!!」
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