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少女はレイラの剣を防ぐのに精一杯で、涼子とディアーブルを突き放す事は不可能。少女が叫んだ瞬間、涼子とディアーブルの間に水の防御壁が展開された。
防御壁から変化した水は、涼子を包み込むように螺旋を描いていた。その水が、涼子の姿を完全に覆うと、一瞬にして水飛沫となって地面へ落ちる。
「先輩……」
「ま……まさかこのタイミングで……ディアーブル! 早く殺しなさいっ!!」
水の飛沫の中から現れたのは、漆黒の鎧に身を包んだ涼子。赤く描かれた蠍のデザインが印象的で、紫色のマントがまた毒々しい。腰に帯刀された漆黒の日本刀を抜刀すると、銀色の刀身が現れた。涼子が目を閉じた瞬間、刀身には紫色の禍々しいオーラが発生する。
「散れ」
涼子はそのまま日本刀を振り翳して、一太刀でディアーブルを一刀両断にした。斬られたディアーブルは跡形も無く灰となって消えていった。
「余所見してるなよ!」
「……!」
涼子の姿を見て目を逸らしていた少女に、レイラは斬り掛かる。少女はレイラの剣の速さに対処が出来ず、振り向いた。
――ボタッ……
森林に生える緑色の綺麗な雑草の表面を、真紅の血が雨露のように流れ落ちた。
「お、鳳先輩っ!?」
「全て、思い出した……」
楓を庇っていたのは涼子で、フランベルジェの刀身を自らの左腕で受け止めていた。流れ出る血に自らは動じる事無く、涼子は右手に持つ日本刀をレイラの脇腹目掛けて振るう。
――ドサッ……
涼子の刀身がレイラを確実に捉えたかと思った瞬間、仮の姿とされていた女性の姿はディアーブルと同じく灰になり、残された衣服が地に落ちた。
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