失踪

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だからミサイルの一つや二つを持っていることに驚きは無い。 一魔もかつて所属していた身ゆえ、それを平気で撃つ神経も……理解できるとまでは言わないが、まあそうするだろうことは想像がつく。 が、それを一般人の住宅街へ向けて放つなどということは夢にも思わなかった。 いくら巨大な組織とはいえ、その実態は反社会的であると言わざるを得ない。 有体に言えばテロリストであるその在り方は、平和にのうのうと暮らしている、特にその色の濃い日本という国では拒絶の対象だ。 この国が拒絶すれば、同盟という名の破壊特権を持った合衆国が殲滅に嬉々としてやってくるに違いない。 なれば、組織は合衆国との全面戦争を余儀なくされるはずだ。 さすがの『麒麟の右目』も合衆国と全面戦争を行えるほど巨大ではない。 だからこそこれまでこの国の陰に潜み、虎視眈々とその支配力を広めていたというのに。 なのに、どうして今こんな風にすることが予測出来ようか。 「くそっ――――!」 今度は拳を机に叩きつける。 当然ながら、机もそう簡単には砕けない。 もちろん、打ち付けた拳の方もだ。 やはり、壊すという形では、この憂さは晴らせないらしい。 そうなると、心の内に憂さは溜まるばかりだ。
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