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「なんとも無残な話だ。テロか? こりゃあ。でも、一体全体何処の誰がこんなところを爆破……と限定も出来んが、こんな風にしてしまったんだ? 古西さんは、別に要人って訳でもないのに」
「本当ですよね。ええと、護身術を子供さんに教えたりしているだけの人だったということらしいですし。無差別テロという線で調べるのが良いのでしょうか」
「いや、初めはあまり限定せずに捜査をした方が良いな。先入観が入ってしまって……うん?」
ふと、浅田はまた一台パトカーがやってきたことに気付いた。
そこから降りてきた人物を見て、捜査官達の人垣が割れる。
見えたのは、やけに派手なスーツに身を包んだ、金髪で、指輪・ネックレス・ピアスと沢山の、どう考えてもこの場にそぐわない、チンピラのような男だった。
男はまっすぐに浅田の方へと歩いてきた。
「初めまして、浅田警部……で、よかったでしょうか」
意外なことに、随分と丁寧な言葉遣いだった。
「ああ、お前さんは?」
「私は観絶村と申します。対テロ国家機関の人間でして」
「対テロ国家機関?」
浅田はかれこれ三十年ほど警官として働いているが、そんな機関があることなど聞いたことも無い。
いぶかしげに眉をひそめていると、男はそっと手帳を取り出した。
警察のものに似ているが、少し違う。
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