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「残りましょう。僕たちは市民の安全の為に、ここに残るべきなんです。
……僕には、今回の件が一体どうして起きているのかも分かりません。
ですが、こんな、爆発みたいで、でも違うっていう……意味の分からない恐怖に、守るべき町の人たちが晒されているなんていうことを黙ってみてなんていられません」
ハッと、浅田は目を瞠った。
いくつかを己に問い、答えた。
時間にして一分も経たなかっただろう。
問答はすぐに終わった。
「わかった、私達は帰ろう」
「浅田さん!」
要求が淀みなく通ったことが意外だったのか、観絶村が小さく訊ねる。
「……良いのですか?」
「帰れといったのはあなただろう」
「しかし、横の新人さんは納得いかないようですよ?」
視線を向けると、責める視線が浅田に向いていた。
情熱の熱さは、蔑みの冷たさへと変わっていた。
だが、浅田はかぶりを振って彼の思いを無視する。
「決定権は俺にある。若造の意見など、知ったことか」
「…………っ!」
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