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俺達は再び北を目指して歩き始めたのが早朝。今は昨日の街だった瓦礫の山を抜け、草木なんて一本も生えていない荒野を歩いてる。
くたくたで、前のめりで進むリリーは、リュックを肩から外すと俺に差し出してきた。
「つかれたぁー。リュック重いー持ってぇー」
5歳時並みの口調は、この上なく俺を不愉快にさせる。意識しないのに口元が痙攣した。
「だぁぁぁ!リュックの係りはリリーだろうが!」
「女の子にこんな重い物普通もたせる?」
汚い物を扱うようにリリーはリュックを投げてよこした。
「お前が自分でこのリュック、ピンクでかわいいから私が持つね!なんて言ってたろうが!」
「あの時は若かったんだよぉ。私はもうあの時の私じゃないの」
いやいや……そもそもだぞ?飯や食料の調達やらは俺が全部やってんだよ!そんくらいリリーがやったって良いだろうが……このガキが。
とは言わず、いや言えず……俺は黙ってリュックを持つ。ソウルイーターが邪魔で背中には背負えない。
てか、確かに重いな。考えみれば水、食料、毛布なんかしか入ってないけど、これは結構な重量だ。
だが、それはリリーでの話し。俺は力だけなら誇れるものがあるからな。
「ねぇ、持ってくれるのはありがたいけどさぁ。そのドヤ顔やめてぇー」
俺はリュックを即座に置いた。
「はいー。交代」
あんなお嬢様も置いて、そそくさと歩く。
「ごめんごめん!ごめんなさい!」
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