絶望の中の光

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同じ光景をひたすら歩くってのは気が滅入る。腐敗した荒野を山を目印に歩く俺達は、徐々に大きくなるその山を見据えてただ歩いてた。 俺が異変に気付いたのは、夕焼けで地面が赤くなり始めた頃だ。 「くそ……血の匂いがプンプンしやがる」 昨日取り込んだシルバーウルフの魂。そいつの能力で俺の鼻は、約5キロ先くらいの匂いを嗅ぎ分けられるようになった。 そのせいで朝から頭が痛む。新しく取り込んだ魂の制御は難しい。例えば、俺のキャパシティを棚とする。 棚には沢山の引き出しがあって、俺はいつも殺した奴らの魂をその引き出しに閉まってる。その引き出しに魂を入れられなくなったら、俺は自我を失うんだけどな…… 取り扱いずそうすることで、魂を制御し、使いたいときに力を引き出しから出せばいいのだが、新入りは違う。 まだ俺の体にシルバーウルフの魂が馴染めていないからか、能力が解放状態になっちまう。 だから俺は、効き過ぎる鼻に嫌気がさしてた。 「血の匂い?どっちから?」 「このまま進めば、たぶん村がある。そこからだ」 「むむ……なんで村だってわかるのぉ?それに目を魔力強化したけど何にも見えないよ」 リリーはどうやら魔力で視力を上げたらしい。 「なら、鼻に魔力を集めてみろ……血の血の匂いに混じって、食べ物の匂いもするから」 取り込んだ魂の能力は、もはや俺の力だから魔力の使用は皆無。まぁ、例外もあるけどな。 だから、リリーのように一々魔力を消費しなくてもいいのが強みだ。 「うえー!本当だ……くしゃー!」 リリーは鼻をつまみながら言った。 「たぶん目視できないのは、結界魔法か……それに魔物に感知されないように、魔力も隠してやがる」 「どうするのぉ?行ってみる?」 血が気になる。この匂いは人間の血だ。厄介事は避けたいけど、水や食料の補給もしたい……
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