絶望の中の光

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「なにそれぇ?ひどくない?」 リリーは、すねたのかビスケットを乱雑に口内に突っ込むと、俺に背を向けて寝床につく。 「わりぃわりぃ。明日の出発は朝早くな。俺は見張りすっから、リリーは寝ろ」 「言われなくても寝るもんね」 そこは見張り変わろうか?とかじゃないの?別にいいんだけどな。見張りって言えばかっこいいけど、結局俺がしたいのは星を見ることだから。 ただ寝そべって夜空を眺める。この景色は変わらない。 移り変わる人の心とか、破壊されて見る陰もなくなっちまった街とかと違って、宇宙が生まれて今まで誰に邪魔されずに輝いてる。 まるで誰かさんみてぇだ。でも、到底俺にはできない。 本当の俺は力が欲しくてたまらないんだ。ソウルイーターで敵を八つ裂きにして、そいつの力を奪ってやりたい…… それに最近、無性に殺意が沸くのは何でだ?自分で決めた筈の不殺生は、力への欲望で簡単に破ってしまえる。 昨日だって、心の中じゃシルバーウルフを殺せて嬉しいと思った。 これで強くなれるって……シルバーウルフの魂の断片が俺に流れてきたときも、充実感が俺を支配してた。 何かを殺して力を得て、挙げ句の果てにはそれに満足する。そんな奴に俺はなってきてる。 いや……元がそうだったのか?今じゃもうわからない。最低の人間だ、俺。 魔物との共存が不可能なのは、歴史が物語ってる。魔物は殺人衝動の塊だ。自分と同種以外の生き物を見境なく殺す。 それでも魔物だって生きてる。俺は、魔物は殺して当然と思ってる自分が怖い。 それでも、生きるため。殺らなきゃ殺られる。そう脳みそに刷り込んでんだ。 自分を蔑みながらも俺は、村があると思われる方から漂っていた血の匂いが、消えたのを今になって気がついた……
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