不可解な村

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村長とはよく言ったもんだ。白髪で落ち着いた顔立ちは、一見30代には見える。 でも、実際は20代前半だろうな。なんせ男の笑みは疲労困憊しながらも、幼さが残っているからだ。 「よく来てくれたね。ここの村長を務めているネグス=ラルドクスだ。まずは、村に招待するのに時間がかかってしまったことを詫びよう」 ネグスは椅子から立ち上がる。ゆっくり礼をすると、再び座った。足が微かに震えていた。 「ゾルド=アーカムだ。こっちはリリー=エバンス」 俺は家の中に目配りしながら言う。リリーは軽く会釈した。 入り口は一つか……シルバーウルフの鼻に切り替える。家にはネグスだけか。 「で?俺達を村に入れた理由はなんだ?」 いきなりのストレートな問いにネグスは驚いたみたいだ。目を丸くしてる。 「ゴホゴホ……君達が噂の二人組と、特徴が似ているからだよ」 「うそぉ!私たち噂になってるのぉ?」 「ええ。以前、たまたま村に訪れた行商人が言っていました。いずれ、南から黒髪で黒い大剣を持った男と、金髪で美人な女性が来るとね。 その人達は、人助けをしながら北へ向かってるとね」 「凄い凄い!私、美人だって美人!」 「はは。そこですか」 行商人?たまたま村を見つけただ?俺でもシルバーウルフの鼻で偶然見つけたんだ。並みの魔力強化じゃ見つけられない筈だ。 その話しが本当だとして、噂になってるのはヤバいな……あいつらに嗅ぎつけられたくない。 今は考えるのは止めだ。 「それとこれとは関係ないだろ?単刀直入に言ったらどうだ。なんか困ってんだろ?」 さっさと話しだけ聞いて断ればいい。素っ気ない俺に対し、ネグスは神妙な面持ちで語りだした。
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