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「リリーは先に行っとけ。俺はネグスと話したい」
「うん。わかった!ささ、ヘルガ行きましょ!行きましょ!」
「家の場所はここから右に歩いた所にあるよい。大きめの家だから直ぐにわかるよい」
「ああわかった。後で行く」
リリーは手を振ると、ヘルガと出ていった。リリーなら何かあっても大丈夫だろう。
「そこの椅子に座っていいか?流石に立ちっ放しで疲れた」
俺は部屋の隅にあった椅子を指差す。
「すまないな。この体じゃ客人をもてなすこともできない……持ってきてくれ」
「いいんだ。動けない割には部屋は綺麗だな」
埃一つない床、この椅子だって使われていないだろうに、埃は被っていない。
椅子をネグスの前に持っていき、下ろして座る。
「アマンダが掃除や食事の面倒をみてくれているんだ。情けない話しだがな」
ネグスはアマンダって女の話しをするときは、生き生きしてんな。
「村を守ってんだ。そのくらいして貰ってもお釣りがくる」
「そう言ってくれて嬉しいよ。ゴホ……それで話しとは?」
本当に嬉しいのか、ネグスは笑った。でも、その笑顔には危うさも感じる。体が限界に近いなこりゃ……目の下には隈が張り付いてる。どす黒い。
「犯人の特徴はわかってんのか?」
「犯人は多分村の誰かだ。この村の結界は、ここらの魔物じゃ傷一つ付けられれない。それに……被害者は全て……ゴホ……心臓を一突き。相当な芸等だ」
「なら怪しいのはヘルガだな」
これにはネグスの顔が歪んだ。元から顔色が悪いのに更に白くなる。
「なっ……!それはない!!ゴホ……ヘルガに限ってそれは!!」
ネグスが椅子から立ち上がろうとした。が、落ち着きを取り戻す。
「いや……感情に任せるのはやめよう。君の意見を聞かせてくれないか?」
「まず、俺は鼻がいい。一種の特殊能力だと思ってくれ。そんでさっきここに来るまで、村の匂いをかんでたが、強い人間の血の匂いはヘルガの剣からだけだった」
ネグスは目を瞑り沈黙ちまった。友人を疑われてんだ無理ねぇか。
「ヘルガには周辺の魔物の駆除や、食料調達をしてもらってる。だからそのときになにか事故があったんだろう」
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