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「数は30匹前後。見た感じシルバーウルフの群れってとこだな。作戦は?」
端正なリリーの横顔に問いかける。
「作戦なんてないわよ。ただ叩き潰すだけ。ねぇ、勝負しよ勝負!」
魔物の中でも下級のシルバーウルフと聞いたからか、リリーの緊張は僅かに和らいだみたいだ。
正直なことを言えばリリーは強い。俺の頭一つ飛び出てる天才だ。
唯一、俺が戦って勝てなかった相手……それがこの金髪美少女なのが悔しい。
だが、俺には最大のハンデがある。それは……
「わかってんだろ?俺は殺生はしない」
別に魔物を殺すことに躊躇はない。これは甘さとかそんな次元の話しじゃないんだ。
俺はソウルイーターを睨みつけた。
「わかってるよ。でも、そろそろ向き合わないとだめな時期だよ?」
俺はそれを鼻で笑う。
「リリーにわかる訳ないだろ。ソウルイーターは魔剣の中でも、更に異質なんだからな……俺は自分を見失いたくはないんだ」
俺が殺生をしない理由。それはソウルイーターのある能力が関係してる。
「……」
それからリリーは何も言わなくなった。ただただ、魔物の群れの方向を眺めている。
「ごめんな」
ボソッと俺は呟いたが、それはシルバーウルフ達の遠吠えにかき消された。
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