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「お~~~~いノリオ!じゃんけんしよーぜ!!」
それは突然だった。
学校の休憩時間。ぼんやりと教室の隅っこの席に座る僕に、話し掛けてきたのは近藤くんだった。
「じゃ………じゃんけん?」
僕はビクビクしながら近藤くんに言葉をかえす。
だってそうだろ?僕みたいに根暗で地味なダメ人間に、クラスの人気物の近藤くんが話し掛けてきたんだぞ?
緊張しないわけがない。
まだその頃小学六年生だった僕は、話し掛けられたことに嬉しさを感じていた。
そんな僕を知ってか知らずか、近藤くんは嬉しそうに言葉を続ける。
「そう!じゃんけん!!
負けた方は罰ゲームな!!!」
罰ゲーム?いったい何をする気――
「最初はぐ~~じゃーんけーん……」
「ちょ、ちょっと待ってよ!僕やるなんて――」
そんな僕の言葉、お構い無しだった。
「ぽい!!!」
「あ………」
「やったあ!俺の勝ち!!ノリオ、罰ゲーム!!!」
それは反射的だった。
僕は知らず知らずのうちにパーを出していたのだ。
当然、近藤くんのチョキにパーは勝てないわけで……。
僕の罰ゲームは決まった。
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