序章

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「ふふふ……」 胸をつく絶望に、柘榴は諦めにも似た笑みをこぼす。 「……何が可笑しい?」 山吹が訝しげに声を荒げた。だが柘榴は何も答えず、ただただその異色の瞳を濡らして微笑んだ。 柏は差し出した手を元に戻すと、「怖いのか?」と問うた。答えもせず頷きもしない柘榴の態度を肯定ととったのか、彼は懐から魔鏡を取り出すと、おもむろに天へとかざした。 「今宵は再生を表す新月。アトマタスにはおあつらえ向きの夜だ。柘榴、儂はひとまず先に逝くぞ」 柏は目を閉じた。 すると、彼の体から滲み出るように紫色のオーラが光を発する。 険しくなっていく眉間には玉の汗が無数に沸き出す。 一際大きくなったオーラの先には、幼子の姿が向かい合うように映し出された。 「さらばだ。皆、柘榴を頼んだぞ……!」 柏はそう言うと、魔鏡の中に突っ込むように腕を突きつける。その腕は魔鏡の中に呑み込まれ、鏡からはおびただしい光の洪水が溢れ出していた。
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