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柏は腕を引き抜く。
そのしわがれた拳には輝く珠(たま)が握られていた。
アトマだ。
それと同時に柏の体は砂のように崩れ去り、消えた。
彼の着ていた着物がぱさりと音を立てて、冷えた土の上にかぶさる。
輝くアトマはゆっくりと、空の器、柏の作り出した幼子の体に吸い込まれ、その光を収束させた。幼子は目を閉じたまま、眠っているかのように地面に横たわる。
「さすが柏様だ。あのようなアトマの輝きは、見たこともない」
「ああ。この子も立派な子になるように、大事に御守りせねば。……この世界の大切な後継者だからな」
山吹と唐松は口を揃えて、新たな命の誕生を祝った。
だがそのような厳かな空気を噛みしめているのはその二人だけで、あとの群衆はただ目の前の異物を、──柘榴を睨みつけている。
鬼灯に至っては面白いものを見た、というようにニヤニヤと軽薄な笑みを浮かべていた。
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