百聞は一見に如かず

11/15
614人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
      ――…グチッ、ぐちゃん… 激しくなる指の抽出に合わせて、粘り気を増すローションの音。 「んんっ!あ、ぐ、ん―――!!」 突っ伏して、掻き集めたシーツに縋って、初めての快感をなんとか逃がそうとする。 だけどそれも、もう限界。 「…じぃん、そろそろ入れてい…?」 熱に浮かされたような頭に、更に追い打ちをかける甘い声。 「…はぁ、ん、…ど、どーぞ!!」 「ふっ…じゃあ失礼シマス」 チュプン…と音を立てて、ゆっくり引き抜かれる指にさえ背筋から奮える。 そして、ピタリ宛てがわれたかめの熱い―――――… ―――…あれ? なんだ、これ…?? 指が震える。 さっきまで緩みきっていた思考が、冷水を浴びせられたかのように一気に蘇ってくる。 「……あ、」 「じん…?」 「かめ、やっ…こわっ」 ―――…これは恐怖だ。 後ろに居るのは大好きなかめのはずなのに、例えようのない恐怖。 まるで知らない誰かみたいに思えて。 自分でも意味が分からない感覚に、更に奮えが止まらなくなる。 「…ったく、しょーがないなー」 「え…?」 何?と思った時には、コロンと転がされて、俺は仰向けになっていた。 そして上に乗っかってきたかめを見上げると、優しい…優しい表情。 「バック。恐いんだろ?俺も馴れるまでは恐かったから…」 「…へ?」 「ぷはっ…(笑)世間じゃ俺様で名高い赤西仁が、なんつー情けねぇ面してんだよ?」 言ってることはキツイけど、その口調も、俺の頬を撫でてくれる手の平も限りなく優しい。 「まぁこれで分かったと思うけど、相手が見えない挿入って案外恐いんだからな。覚えとけ」 「は、はい」 って、今この状況でHow to sexってのもどーかと…。 「っても実際バックのが楽なんだよなー。お前初めてだから特にな。どーす「やっ、このままで!かぁめーー!!」 ぎゅううぅ。 かめを抱きしめる。 あー…かめの感触、かめの匂い。 超落ち着くし超幸せ。 ……もう恐くなんかない。 「かめ、続きしよう…?」  
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!