百聞は一見に如かず

6/15
前へ
/15ページ
次へ
    啄むようなキスを繰り返して、そのままベッドに押し倒してから深いキス。 「っ…かめ、あ、ちょっと…!!」 ベロリ、咥内を一通り味わったところで、待ったが掛かった。 「…何?」 「や、あの、がっつきすぎ?ってゆーか…?」 「安心しろ。いつものお前はもっとねっとりガッツリだ」 そんな事実を忠実に述べてやる。 「えーそんなこと…あるか?」 「…だからそのアホっぽいしゃべり方やめろ。つーか黙って感じてろって」 抵抗自体は強い訳ではない。 仁が本気で嫌がれば、俺なんかひとたまりもないだろう。 だからそれまでは俺だって本気で攻めてやるし、あわよくば最期までシテやる。 そんな新たな決意を胸に、攻撃再開。…の前に。 「…ねぇ仁、今日は俺に全てを委ねて?お願い……」 囁くように耳元で言って、そこに柔らかく歯を立てる。 すると小さく仁の身体が奮えた。 ……知ってるから。 俺がお前の甘い囁きに弱いように、お前も俺のこの声に弱いの、知ってる。 ゴクリ…それを証明するかのように、仁が生唾を嚥下する。 自然と引き上がる口角がバレないように、短くなった髪を梳くように撫で、少し焼けた肌の上にキスを落としていった。 しかしながら、感度というのはある程度慣れも必要なもんだと、今さらながらに思い知る。 弱点である鎖骨は避けたものの、とにかく擽ったさが先に立つらしい。 乳首を舐めれば 「うひゃっ」 腰や背中を撫で上げれば 「……」 無反応(泣) 「え、えーと、かめぇ?上はもういいから、出来たら下、触ってくんない…?」 されてる本人も気まずそうに、その先を促す。 さすがの俺も諦めて、言われた通り下肢に手を伸ばした。 「……つーか感じてないくせに、なんで半勃ち?」 だからこれは、ちょっとした負け惜しみの悪態だったのに。 「は?そりゃ好きな奴が裸で上に乗っかってんだぜ?勃つに決まってんだろーが」 きっぱり。当たり前のように言い放つ仁に、また愛しさが込み上げた。  
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

614人が本棚に入れています
本棚に追加