614人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
side.A
可愛い恋人に自分を求められた。
そうなれたら安心して送り出せるから、なんて。
恥ずかしそうに顔を赤らめて。
そんな風にお願いされて、拒否れる奴なんているのだろうか―――――――……?
……。
カッコつけずに、拒否っときゃよかった(泣)
「ぬあ゙ぁあぁ~~~ん゙ん~~~」
凄まじい不快感をケツに感じ、唸らずにはいられない。
「…仁、もう少しカワイイ声出すか黙るか、どっちかにして」
「無理ぃ~~何これ?気持ち悪すぎるぅ~~(泣)」
「……はぁ…やっぱヘタレ」
そして今、その可愛いはずの恋人はとっても不機嫌。
その証拠にさっき、温めてもないローションを、無言で直接ケツに入れられてピギャッてなった。
今も言葉の端々が冷たい。
…まぁ、俺が悪いんだけど。
「ってかまだ指一本しか入ってないし」
「うっそ…んあ゙~~~~!!」
グルリ指を回されて、また違う不快感。
グジュ…って聞こえてくる聞き慣れたローションの音はエロいのに、全くそんな気になれない。
そして何より…
「仁、もう少しお尻上げて?やり難いから…」
「……っ//」
この体勢が堪らなく恥ずかしい。
俯せで腹の下にクッション2個挟んで、ケツだけ突き出してる状態。
こんなのガキの頃に大熱出して、親に無理矢理座薬入れられた時以来の屈辱だ。
「…ねぇ仁、そんなに嫌?」
「え、……」
不機嫌だった態度とは一変、切なげなかめの声に驚いて振り返る。
見えたのは、目尻を下げる悲しい微笑み。
「ふふっ…そりゃ嫌だよね?覚悟決めてたって言っても、今まで仁から一度だってそういうの聞いたこと無いし……」
「ちがっ!」
確かに言ったことは無い。
でも俺は、かめになら何されてもいいって思ってるのは嘘じゃない。
「いいよ、無理しないで。初めてはやっぱりキツイし、絶対に痛いから…」
そう言われて、漸く気付く。
そのキツくて痛い初めての時だって、かめは何も言わずに俺を受け入れてくれた。
だから俺は、今までそんなかめの強さと優しさに甘えて来ただけだったんだ。
自分の情けなさを痛感した瞬間だった。
最初のコメントを投稿しよう!