ホスト

12/20
前へ
/224ページ
次へ
…恋した乙女のフリ。 現実逃避してた。 あたしの現実は、このままで変える事は出来ない。 あたしだけ取り残された様な感覚。 寂しいだけじゃない。 …空っぽな自分に嫌気がさす。 目標なんてない。守っていかなきゃいけないモノもない。 …あたしには何も無い。 前みたいに、お金に苦しむ事もない。 …だけど、お金の使い方も分からない。 襲ってくるのは、虚しさと哀しさ。 …涼子が、言ってくれてたな。『早く仕事辞めなよ!!』って… 気づけば、仕事が付けない悔しさで意地になってたあたし。 この仕事しかない。唯一あたしの出来る事。 …仕事辞めたら何かが変わる??? あたしが、変わらなきゃ何も変わらない。 また、飲み屋さんに戻ってプレッシャーと罪悪感に押し潰れそうなあたしに戻るの??? 毎日自己嫌悪してしまうあたしに戻りたくない。 …だから風俗壌として、頑張って行くしかない。 きっと、これから先もずっとね… 抱えるモノが無い事って実は哀しい事。 ホス行って恋した気分になって楽しんだ様に思い込んであたしは、今凄く楽しいんだって自分に言い聞かせる。 …この仕事してて良かったんだって。 自分を騙して。 あたしは、風俗壌としてこれからも生きてく。 涼子からも理解されない仕事。 あたしが選んだ道。
/224ページ

最初のコメントを投稿しよう!

542人が本棚に入れています
本棚に追加