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高校の入学式と言っても、中学まで友達が少なく、その少ない友達とも惜別した彼は退屈していた。
この長い人生の退屈に比べれば入学式の退屈など取るに足らない。
新生活の期待や不安。
この高校生活三年間のクオリティーは入学式からの短い期間で決まる。
絶望的に長いこの三年間。
やる気はある。
入学式が終わり、学友と呼ばれる人達の波に乗り、教室に向かう。
中学時代からの知り合いと同じクラスになった人が多いらしく、意外とにぎやかだ。
彼は何をするわけでもなくぼーっとしている。
担任がやって来て自己紹介を始める。そして出席番号順に自己紹介するように指示。
多少、教室はどよめいたが、指示に従い自己紹介が始まった。
彼は自己紹介に興味津々。できるだけ多くのクラスメートの顔と名前を覚えるように努める。
「坂口大揮(サカグチダイキ)です。よろしく。」
自分の番が来て、そつなくこなした。
しかしあまりにも薄い自己紹介。
言ったそばから軽く後悔する。
その後も続く自己紹介。
「畑山花怜(ハタヤマカレン)です!!趣味は読書とアニメ鑑賞。好きな言葉は『人がゴミのようだー。』特技はアニメキャラでしりとりする事です!!あと、毎日、自慰行為はかかしません!!」
クラス一同、開いた口が塞がらない。
大揮の隣の席の女の子がとんでもない自己紹介をかました。
花怜と名乗った女の子はしてやったりな顔で着席した。
変な空気になったが、自己紹介は何事も無かったかのように進行した。
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