プロローグ

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●バー烏丸(カラスマ)● ヒロは、カウンターの椅子を並べ、ベッドにして右手を枕にして寝ている。 店舗兼住まいだか、ベッドはカウンター椅子。風呂は近くの掛け流し温泉の銭湯大和湯に行く。 「ふー、暑い。クーラー切れたんか、電気は確か来週に切るとハガキがきていたはずや」 ヒロは、朝まで常連客と飲めない酒を飲み、ブルーのワイシャツにネクタイの格好で寝ていた。 ヒロは起き上がりクーラーのリモコンスイッチを見る。 「なんや、切れているやないか、誰が切ったんや!ん、俺かな?酔っ払って切ったんやな」 アルコールに弱いヒロはまだ酒が抜けてない。 ヒロは腕時計を見た。 「あーもう3時か、スーパーに買出しにゆかんとあかんなあ、銭湯にも行きたい」 ヒロは、風呂セットが入っている網状の手提げを棚の下から出して、小さな自転車に乗ってすぐそこの大和湯に入った。 風呂には、一番風呂しか入らないこの辺りを縄張りにしているやくざの組長とその子分2人がもう上がろうと脱衣場で服を着ている。 「こんちはす!」 ヒロが挨拶をする。 「おっ、ヒロか、お前酒臭いなー」 組長が笑顔で言う。 「朝まで営業で、酒も弱いもんでなかなか抜けません」 ヒロが頭を少しかく。 「酒が弱いでよくバーをするな……。帰りに店に行きたいが、無理やな?」 「はい、すんません。段取りなんもしてないもので」 「来週大丈夫やろうな、1週間待ったんやど」 「間違いおまへん。きっちり元金と利息をお支払いいたします」 「もうまたらへんからな」 笑顔からやくざの顔に一瞬変わる。 「はい」 ヒロは急いで服を脱ぎ、湯船に顎まで浸かった。 「はー、来週まで30万用意せんと、生け捕りされる。盗みも警察にベタマークされとるし、もう知らんわ、どうでもしてくれ!」 ヒロは目を閉じた。 ヒロは風呂で酒のにおいを消し、スーパーライフで買出しをしてバーに戻って店の準備をしている。 「すみません。もういいですか?」 男性の声がする。ヒロは後ろ向きでガス台を雑巾で拭いている。 「いいですよ。適当に座ってください。飲み物は?」
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