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「瓶ビールを下さい」
「ちょっと待ってね」
「はい」
男は椅子に座った。
男は壁に貼っている張り紙を、後ろを向いて見ている。
「これって、何でもって書いてますが、本当に何でもですか?」
「そうです。何でも探偵のヒロです」
昔聞いた事あるような声だがヒロは誰か思い出せない。ヒロはカウンターに向い、カウンターの下から、冷えた瓶ビールを取り出し、栓抜きでパンと開けて、男の前にグラスと一緒に出した。
男は、痩せて草食系男子と言う言葉がピッタリ合うなかなかのイケメンで服のセンスもいい。歳はヒロと同じぐらいだ。
「で、どんな内容ですか?」
「悪い奴を懲らしめて欲しいのですが?」
「それは僕の得意技です。正義の味方です」
「料金はいくらぐらいですか?」
「えーと、話を聞かないとね」
「じゃあ、依頼はですね…………、四条署の極悪非道な悪徳警官をこの世から消して下さい」
「消すとは、殺すと言うことですか?」
男は小さく頷いた。
「それは……凄い依頼ですね。警官は殺せませんよ。私は切り刻まれて、鴨川のカラスの餌になります」
「何でもやると仰ったのは嘘ですか?」
「嘘ではないです。じゃあ、その警官を社会的に抹殺すればどうですか、生き恥を晒すということです」
「あいつを死より悲惨な目に会わせてください」
「よし、それならOK!内容を聞こう」
「一ヶ月前、僕の大学の親友が突然、夜道で撲殺されました。それも、殺人の容疑をかけられていたそうです。被疑者死亡で、送検されたのです。ゴキブリも殺せないいい奴が人を殺せるわけないです。それも銃で撃ったのですよ!冤罪です。恨みを晴らしてやりたい!絶対に犯人に殺されたのです」
「誰を殺したんや。いや、誰が殺されたんや」
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