運命の日

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「はぁ、外回り面倒臭ぇな。何処かでサボろうかなぁ」 だらしない事をぼやきながら信号が変わるのを待つ仁志。 お昼過ぎな為か他の歩行者は少ない。 反対側には一組の親子が同じように信号が変わるのを待っていた。 子供の歳は2、3歳位だろうか、仁志が何となくその親子を見ていた。 すると親子の後ろから一匹の白い猫が来て子供の横を通り過ぎ、猫はそのまま道路に飛び出した。 そして子供が猫に気付き猫を追いかけて飛び出してしまった。 キィィィィッ 横から大型のトラックが走って来ていて、子供に気付き急ブレーキをかけていたが間に合わないだろう。 「危ない!」 いち早く事に気付いた仁志は道路に飛び出し、掬い取る用に猫を掴み前方に放り投げ、そのまま子供が引かれる前に突き飛ばした。 ドンッ 仁志は5~6メートルほど吹き飛び道路に叩き付けられた。 「キャァァァ」 何が起きたのか理解した子供の母親は叫び声を上げ、トラックの運転手は顔を真っ青にしていた。 周りの人達も騒ぎ始め、何人かは救急車を呼んでいた。
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