Ⅰ,英雄と謳われた道化師

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僕は笑顔でいつものようにお礼を言うと、やっぱりヤキモチを妬いたのか、カレンが僕の足を踵で踏みつける。 「イ!?」 「どうしたの?隊長?」 「な、何でもないよ……」 必死になって痛みを堪える僕。 するとそこへ、見た人の度肝を抜くようなてんこ盛りのカレーライスをお盆を運んでくる男がいた。 僕ら『第7特殊強襲隊』の紅い軍服を腰に巻き付け、黒いタンクトップを着ている。 ガッチリとした筋肉質の体。 隆々と盛り上がる筋肉はまさに百戦錬磨の軍人を思い浮かばせる。 金色の短髪を逆立て浅黒い凛々しい顔に、首には真っ白なタオルが巻いてある。 いかにも訓練帰りを想像させる。 彼の名前はケヴィン・マース中尉。 僕ら『第7特殊強襲隊』の隊員であり、戦闘要員で唯一"中尉"という高い階級を持っている。 ちなみに僕の階級は少尉で彼の1つ下だ。 歳は僕と同じだが、僕よりもキャリアがある強者である。 彼の兄と親父さんはこの軍の上層部に所属しているらしいが、定かでは無いのが事実。 ケヴィンは僕に気が付くとゆっくり歩きながら僕の右隣に座る。 「よう隊長殿。今からお昼かい?」 「あぁ。もしかしてケヴィンも?」 「おう。オレはさっき訓練から帰ってきたばかりで腹ペコだ。よかったらご一緒させてもらうがどうだ?」 「構わないよ。一緒に食べたほうが楽しくて良いだろ?」 正面に座るカレンの視線が僕をズバズバと貫いていく。 あぁ、痛い痛い。
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