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八月二十日。今日で最後のバイトが終わった。
バイトでかせいだお金を封筒に入れると、それを母の愛花の前に差し出す。
「歩花……これはあなたのお金よ?」
歩花は笑顔のまま首を横に振った。こたつ机に置いた封筒を手の平を向け差す。
「これは、お母さんに渡す。お母さん、いつもがんばって仕事してくれてありがとう」
おかしいな――悦徳に助けてもらった時はお礼を言うことが気恥ずかしかったのに、母親の愛花にならすんなりと言うことができる。
「歩花……あなたこそありがとね」
愛花は目を細め歩花の髪をなでてきた。
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