*友情……亀裂*

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その時やっと、歩花は「またね」と口を開くことができた。 潤未からの返事は、「うん」だけ。笑ってもいなくて、怒ってもいなくて、無表情だった。 その次の駅で、歩花達も降りる。 電車から駅のホームに一歩出た瞬間、やっと人々のにぎやかな声が耳に入ってきたような気がした。 笑っている学生達の声。早足で歩きながら携帯で話しているサラリーマン。駅のアナウンス。歩く足音―― それらを認識したのと同時に、緊張の糸がほどけたように、歩花の目から一筋の涙がこぼれた。 ――けれどそれが前を歩いている悦徳と一貴に見えないよう、すぐに拭った。 さっき潤未に「またね」とあいさつしたが……明日学校で会った時、普通に接することができるだろうか。逆に潤未は普通に接してくれるのだろうか。
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