1404人が本棚に入れています
本棚に追加
潤未だけでなく、目の前を無言で歩いている二人とも普通に接することができるのだろうか。四人がまたそろって笑い合えるのだろうか……。
歩いて帰る最中、歩花はずっとアスファルトの地面に視線を落としていた。通りすぎて行くコンビニも、並んでいる住宅も、横切る子供にも、オレンジ色の夕日にも目を向けず。
「じゃあな」
気が付けば、悦徳の家の前まで来ていた。歩花はやっと顔を上げる。すぐ左手には古いアパート。目の前には無表情の悦徳。
「あ、うん……バイバイ」
暗い声が出てしまわないよう、できるだけ明るい声を出す。けれどいつものような元気は出ない。微笑むくらいが精一杯だった。
それを察したのか……
悦徳の大きな手が、歩花の頭の上にポンと乗ってきた。
「え……?」
温かい感触。それに戸惑う歩花。
最初のコメントを投稿しよう!