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「今のは?」
「さあ。私にもよく分からないわ……ただ全ての魔具を知る記録書みたい」
「さっきの人格が?」
「そう。経緯は知らないけど私に乗り移──」
そこまで話すと崩れるように倒れてきた。僕はそれを支えようと手を伸ばすが……
「あ、ヤバい僕も……」
今までの無茶がここにきて祟ったか目の前の景色がグニャリと歪み、全身から力が抜けていった。消えいく意識のなか、どうにか少女だけは支えられたと思う。
†
二人が倒れた後、結や男が入ってきた扉からあのメイドが現れた。
『彼等を病院まで連れていってくれるかい』
「かしこまりましたでございます」
その時、一陣の風が吹きメイド髪を印象的なツインテールをたなびかせた。その髪を手で押さえながら夜空を眺める。
「彼等を計画に巻き込むのは忍びないでございます」
『そうだね。でもどのみち彼等は彼等の意思関係なしに巻き込まれるよ』
「はい。ですが私はそれを送らせることが出来たでございます」
その瞳には哀しみの色と後悔の色、諦めの色などありとあらゆる色が混ざっていた。
『でも、それは彼等の為にならない。勿論ボク等のもね。たがら、君の幸運少しでも分けて上げて欲しい』
「はい……」
また一陣の冷たい風が吹いた。
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