code-1 【始】

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       †  その頃、タワーから離れた大きな廃工場の近くでは…… 「疑問を口にします! あのような情報はなかった。あの少女は記録書だけを持ち、魔具は持っていないと。第一、魔具もコードも使える人間などあってはならない!」  そのような愚痴っぽい声が工場内に響く。先ほどの黒づくめの男だ。 「これは情報不足の──ッ!」  ジャリという地面を踏む音がした。ここはとっくに捨てられ誰もいないはず。いてもゴロツキくらいだ。 「だ、誰ですか!?」  だが、無性にこの男には不安に思えた。なにか恐ろしいものが近付いてきているような…… 「お前に名乗る名はねえよ……」  靴音と共に月明かりに写し出されたのは、木刀をバチバチと光る木刀を持った金髪の美少女だった。 「ユイを傷付けた罪……その身で払ってもらう」 「ま、待っ──!?」 「待つかよ……死ね」  金色に光る刃が今まさに振り下ろされた。絶叫に近い断末魔を残して。 「ユイを傷付けるなら……」  月明かりの中、虚ろな瞳のまま何か呟く。 「誰であっても容赦はしない」  真っ赤な衣服のまま、顔を手の甲で拭うとニヤリと不敵に笑った。
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