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昼休みになっても、俺の不安は消えなかった。
もしあの騒動がアンブレラがばら撒いたウイルスによるものだとしたら…
それを止めようとしていた姉さんはどうなる?
アンブレラにもしその事が気付かれていたとしたら?
姉さんは……?
「邪魔になる。」
ハッとした。
親友、向井 祐二(ムカイ ユウジ)の一言だった。
「いーじゃん別にぃ!」
「だぁーかぁーらぁー!これ持って歩くと邪魔になるんだよ!」
「何で何でぇ!?真弓が一生懸命作ったお花の冠…邪魔だって言うの!?」
『ちょ…二人とも;』
真弓と祐二は付き合っていて、学校でも有名なカップルだ。
真弓がいつも何かを持って来る度、こうやって喧嘩が始まる。
止めるのはもちろん俺だ。
「もういい!祐二なんか知らない!」
「こっちだってお前の事なんか知るかよ!」
「サイッテー!!」
そう言って真弓は廊下に走って行った。
『…良かったの?』
「あぁ…またやってしまった…」
『…はぁ…』
正直日課の様な物だから、特に気にする事はなかった。
それよりも気になったのは、祐二の一言。
もし姉さんの動きがアンブレラにバレてしまうと、当然アンブレラは姉さんが邪魔になる。
そうなるとどうする?
監禁?いや…
閉じ込める?…違う…
殺すんだ。
アンブレラならやりかねない…!
じゃあ姉さんは?
殺された…?
まさか…
そんなハズがない。
もしかしたらどこかに隠れているだけかもしれない。
きっとそうだ。
いや…絶対にそうだ。
だとすると…
「慧人ってば!」
「……え?」
「どうしたんだよ?俺の話し聞いてた?」
「あ…ごめん。」
「今日のお前、何か変だぞ?」
「そう?」
「ぼーっとしてる。」
「………。」
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