恋をする、君の瞳に恋をした

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入学祝いだっ!! と、いきなり家に押しかけてきたのは既に大学二年生を終えようとしているトキワだ。 酒瓶を持って、笑顔でうちの母親に挨拶なんかをしてる。 僕はなんだか、受験疲れがいきなり押し寄せてきた気分になって、二階の自室のベッドに座り込んだ。 乱暴な足音で、階段を登り、トキワが自室にやってきた。 「お袋さんがつまみ作ってくれるって」 本当、射程圏内広いよな。 その言葉は飲み込み、ただ溜息だけ吐いた。 「なぁ」 「ん?」 「ミクロちゃんに会わせろ」 「だーめ」 「なんでだよー!!入学祝いに連れてこいよー!!」 半ば自棄だった。 丸三年、言い続けてその度に振られ続けているのだ、自棄にもなる。 好きな気持ちが薄れたわけじゃない。 だけど、やはり心が折れる。 かと言って、もう他の女の子を見ようとも思えない。 ここまで来たらもう、一生独身を貫こうか、なんて悲壮な決心まで固めかけていた。 がっくりと項垂れる僕にトキワは意外な言葉を吐いた。 「なーんて、な」 「…ん?」 「いーよ。会わせてやるよ」 「っ、えぇぇぇー!!」 絶叫した。 「うるさいっ」 「あ、ご…ごめん。って、えっ?今、今なんて?幻聴?」 「なんだ、幻聴って。 会わせてやる、つったの」 「マジ?」 「マジ」
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