恋をする、君の瞳に恋をした

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「なぁ、お願いだからさぁ」 「ばーか、何度言ってもダメなもんはダメなんだよ」 僕たちは、高校生だった。 多感な年頃、異性に興味だって抱く。 僕も、数は多くないけれど彼女がいたこともある。 要するに、普通ってこと。 そう、僕は普通だった。 ただ普通に恋をしただけだ。 親友の妹に。 「なぁ、いいだろー?」 「だーめーだっつってんだろ!!」 頼みの綱は親友だけなのに、その親友は頑なに彼女と僕を会わせてくれない。 「なんでだよー」 今日も空振りに終わり、僕はその場にへたりこんで気の抜けた声を出す。 「当たり前だろ? あいつは、トクベツなんだよ」 「トクベツ?」 「あ、やべ。じゃ、先に帰るわ!!まったなー!!」 トキワは腕時計に目を落とすと、慌てた様子で立ち去った。 「ったく。今度はどの彼女だよ」 僕は肩を落として溜め息を吐き、そして苦笑いを浮かべた。
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