恋をする、君の瞳に恋をした

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トキワとは、高校二年の選択授業で知り合った。 僕のいる美術科と、トキワのいる被服科は、普通科に比べてとても人数が少ない。 その為、重複している授業は一つに統合されて、一緒に受けることになっている。 僕たちが最初に出会ったのは、デッサンの授業だった。 「へぇ。お前、絵上手いのな」 たまたま隣にいた僕に話しかけてきたのがトキワだった。 「そうかな?そういう君は…」 壊滅的だった。 「心が伝わりゃいーんだよ、心が」 悪戯っ子のそれで、歯を見せて笑うトキワ。 僕もなんだか可笑しくなって、二人して授業中だというのに大笑いした。 僕たちはそれから、デッサンやデザイン論の授業で顔を合わせる度に会話を重ねて、仲を深めていった。 ただの、絵を描くのが好きなだけの男だった僕は、その普通すぎる感覚からか、同じ美術科の生徒をあまり理解できなかった。 アートは爆発、それは大変結構。 だからって無闇やたらと無茶苦茶なことをやればいいってもんじゃない。 言い訳のようにアートという言葉を使えばいいと思ってる奴らばかりに見えて、もしかしたら僕は彼らを少し見下していたのかもしれない。 芸術論を武器に日夜闘おうとする彼らに辟易し、僕は一人でいることを選んだ。 寂しくないわけじゃなかったけど、それにも段々慣れてきた。 慣れてきた頃にトキワと出会った。 だから、大笑いをしたあの日、僕は「こんなに大笑いしたの、いつぶりだろう」と、素直に感動した。 そして、トキワに引き摺られていった。 トキワには普通科に彼女がいた。 それも、各学年に一人ずつ。 その節操のなさ…もとい、アグレッシブさには呆れるばかりだったが、トキワだから仕方ないと思わせる、何らかの魅力が奴にはあった。 話をしていくうちに、トキワには妹がいることを知った。 絵が上手くて、可愛い、自慢の妹。 気付けばトキワは、彼女たちよりも妹の話ばかりをするようになっていった。 よっぽど溺愛してるんだな。その当時の僕の見解としては、その程度だった。 その自慢の妹と、僕はある日出会うことになる。
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