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なんなんだろう。
あの目は。
僕は見たことがない。
首を傾げた。
すると、隣から声をかけられた。
「行こうぜ」
「えっ?」
見ると、トキワは既に歩き出していた。
僕は慌ててその背中を追いかける。
追いついて開口一番、僕は疑問を素直に口に出していた。
「あの子、誰?」
「ん?妹」
それが、僕と彼女の出会いだった。
すごい絵を描く女の子。
そういう認識だった。
ライバル視しているところもあったかもしれない。
それ以降、僕の頭には
彼女の絵と彼女の目が焼き付いてしまった。
それらを時折思い出しては、創作意欲に火をつけ、自分を奮い立たせていた。
何故、あの女の子のことがこんなに忘れられないのか。
ただ、悔しいからだと思っていた。
そして、二度目に会った時、僕はやっと気付いた。
僕の認識が間違っていたこと。
僕は、初めて会ったあの日から彼女に恋をしていたのだ。
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