ある日の。

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あるうららかな午後でした。 いつものように庭先で紅茶を飲んでおりますと、 なんとまぁ騒々しい。 上から音が降ってくるではありませんか。 まるで私の頭の上にぽっかりと、 どこかへ繋がる穴が出来たような。 音はそこから聞こえてくる次第でございます。 私が妻に聞いてみても、 妻は聞こえないと申しますから 何か、私だけのようでございます。 街を離れて十数年。 静かな余生をと越して参りましたが、 そろそろ田舎の風景に飽きたところでございます。 ここはひとつ、上から聞こえる不思議な音に 耳を傾けてみることにしましょう。
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