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「ほら、飲めよ」
「……」
ベンチに戻り、熱い缶コーヒーを渡すと、田村は受け取らずに目を逸らした。
「飲めや。教室で飲んどったやん。嫌いちゃうやろ」
「……どうも」
田村は渋々、缶コーヒーを受け取った。
人間観察がたまには役立つもんやろ。
俺も別の種類のブラックコーヒーの口を開けながら隣に座った。
「腕…赤くなってる。痣残るかな」
「…知らないわよ」
「……」
「……」
「…悪かったな」
「…これは佐野じゃなくてあの酔っ払いがキツくつかんだからで「そうじゃなくて…」
「え…?」
「さっき…ケバいから金払えばどうのとか……何か苛ついて、言い過ぎたわ」
あん時、田村が意外にもめっちゃ傷ついた顔したから…結構びびった。
泣くかと思った。
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