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「少佐ーっ、居ますかーっ」
俺とカーターは少佐の部屋の扉をノックした。
「………」
ん?
反応無し?
「いねぇのか?」
「おっ!ユーリ、なにやってんだ?」
声のした方を見ると、明らかに寝起きの顔をした少佐がいた。
「少佐、どこ行ってたんです?」
「お前らん所のレディルームで寝てた」
はぁ…だろうと思ったよ……
俺はもはやお馴染みのようになった台詞を口にすることにした。
「少佐、あなたはアロー隊の隊長でしょうが」
「だってよぉ、お前らのレディルームのがひろいんだもーん」
このおっさん反省してねぇな?
「ほんと、いい加減にしないと艦長に報告しますよ?」
俺がそう言うと少佐は、急にニヤニヤし始めた。
なんだよ、気色悪い。
「ふっふっふっ、ユーリよ、お前はそんなめんどくさいことやらねぇだろ?」
うっ、痛いところを突きやがって……
流石にガキん時から知ってて、なおかつ親代わりじゃあ分かって当然か?
「少佐には負けますよ」
俺は両手を上げて降参のポーズをとる。
「伊達にお前ら兄妹の親代わりをやってねーよ」
「隊長の親代わり?」
それまで軽く置き去りだったカーターが興味を持ったのか聞いてきた。
「ん?誰だ?」
「あぁ、彼はジョン・カーター少尉、今日からうちに配属になった新人です」
「あー、そういやレディルームでエリちゃんが言ってたな」
はぁーん、掛けポーカーの準備だな?
「ところで親代わりって言うのは?」
「あぁ、コイツの両親な、母親が事故死したんだが、そのすぐあと父親が戦死してな」
少佐は、親父が死んだ時の事を思い出したのか、表情が曇った。
「そのときにコイツと妹のアリスの事を頼まれたんだ」
「隊長の父親って、もしかしてウェルキン・ランツァート中佐ですか?」
不意にカーターが聞いてきた。
「ん?知ってんのか?」
正直、驚いた。
確かに親父はオーシア軍トップエースだったらしいが、軍の新人が知ってるほどの有名人ではないはずだ。
「えぇ、前にベルカ戦争の事を詳しく書いてある本を読んだときに退役間際に戦死したエースパイロットがいたのを思い出したんです」
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