偽りの平和

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『ユーリ、今のって…』 「人間のミンチだ。くそっ、あんまり気持ちのいいもんじゃないな」 俺が次の敵機を見つけると、既にエリが攻撃位置に着いていた。 『目標ロック、クラウド、フォックス2』 エリの機体から離れたミサイルは、真っ直ぐ敵機に向かって行き、機体を四散させた。 『クラウド、1機キル』 『スカイアイよりヴァルキリー、国籍不明機の全滅を確認した。ヴァルキリーリーダー、命令無視の責任はとってもらうぞ』 「望むところだ。仲間失うくらいなら営倉でも入った方がマシだぜ」 『ふっ、スカイアイよりヴァルキリーリーダー、貴官の命令無視の証拠がミスによって消失してしまった。無罪放免だ』 スカイアイの奴、頭カチカチの馬鹿野郎かと思ったら、案外いい奴じゃないか。 「ヴァルキリーリーダーよりスカイアイ、恩に着るぜ。意外といい奴だな」 『意外とはなんだ意外とは、やはり報告するか?』 「あー、任務完了した。これより帰艦する」 『スカイアイよりヴァルキリー、任務を解除する。ご苦労だった。交信終了』 『ユーリ、あの国籍不明機、どこだと思う?』 「どこって、この海の向こうにあんのはユークだけだぜ?」 『だけどユーリ、ユークトバニアはベルカ戦争以来の友好国よ?』 「なんだよなー、まぁ政治に口出しすんのは俺の仕事じゃないんでね、わからんな」 だが、実際問題としてあの敵機はユークの塗装をしていた。 なんだかきな臭くなって来ちまったなぁ。 親父も戦争前、こんなこと考えたのかな?
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