勇気と希望と強い想い

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「ボクが役に立つ日なんていつか本当に来るのかな」  今まで、落ち込んだり弱音を吐いたりっていうのは、極力避けるようにしてきていた。だってそう言ったからといってボクの未熟な腕が良くなるわけでも、回らない頭の回転が速くなってくれるわけでもない。諦めていたというわけではないけれど、それに近いものがあったからなのかもしれない。  ボクの名前はキッシュ。そして隣でぼんやりと空を見上げている友人は、キルヒアイスという。二人とも同じ魔導士の学校に通っているのだけれど、成績は同じではない。ボクはいつも地面を這い蹲っているのだけれど(進級できるかどうかが本当に微妙だ)、キルヒアイスはきっとこの先主席で学校で卒業出来ることだろう。どうしてこんなボクとそんな彼が、友人でいるのかが不思議でならない。きっと先生も他の同級生たちも、そう思っているに違いない。 「何言ってんの、お前らしくないじゃん」  彼は絶対に他人に見せないような笑い方をして、手に持っていた紙飛行機をひょいと空に向かって投げた。それは、まっすぐに高く高く飛んでいく。紙飛行機を飛ばすのに風向きは特に関係ない。魔力を込められた紙飛行機は、その人の意思の力によって飛んでいく。彼のはまっすぐ、何処までも何処までも飛んでいく。ボクのはといえば、…流石に悲しくなるからこれ以上は言いたくない。けれど言わなければいけないのであれば、ボクは言う。どうせこれ以上、落ちるところなんてないのだから。
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