はいくらいしす！

一

　ず、と朝イチのコーヒーを一口。

　砂糖は大さじ三杯ほどで、甘党じゃない私には甘ったるすぎる。

　目の前で自分よりも砂糖の多い（五杯ほどだったはず）コーヒーを飲む男をちらりと見る。

　黒くて、艶々した右だけ少し長い髪に、血みたいに赤い瞳。
　鮮やかな色合いのそれが上品に細められて、長い睫毛が頬に薄く影を作っている。

　黄色人種じゃないと思えるような彼の肌は、印刷紙ほどじゃないけど、本当に白い。

　比べて私は茶色に近い黒の、ひょんひょんと跳ねた髪。
　それに似た色の瞳。
　睫毛なんて目の前の男に比べれば短いし、少ないほう。

　ま、まあそれはそれでいいとして、――少し悲しくなる。

　年頃の女の子ってのは美白美白って五月蠅いものだけど、私の肌は黄色人種、という代名詞にぴったりな色合いで、この男の肌の白さはいささか癪に触る。