♯10.重力操作〔グラビティー〕

2/20
2045人が本棚に入れています
本棚に追加
/389ページ
1 東仙歌神の攻撃が止むことはなかった。 一つが終わればまた次が。東仙の能力は変身〔トランス〕というもの。 触れた物質の形状を変化させるという力だ。 二人がいるのは山の中。東仙にとって武器となるものは無限とある。 たとえ小さな石ころでも、触れればピストルの砲弾のように威力のある攻撃になるし 地面に落ちている葉っぱに触れれば、それは刀のような切れ味抜群の武器となるだろう。 そんな止むことのない怒濤の攻撃の中に、二神悠斗は隙を見つけることが出来ないでいた。 「どうしました? 攻撃してこないと、死にますよ」 東仙は本気だった。 イヴを救い出す最後の可能性ではあるが、ここで死ぬならそこまでの人間だった。 そう思う程度だろう。 「また、私が女だから……などという言い訳をするつもりですか?」 それは初めて二神と東仙が対峙し、そして戦ったときに二神が言った言葉だった。 あの時だって、運良くノーバディが現れたから助かったものの、現れなかったらどうなっていたかは分からない。 東仙は落ち葉に触れ、それを二神目掛けて投げる。 顔を素早く動かし、二神はその攻撃をよけた。 二神の後ろにあった一本の木が、真っ二つに切断される。 それを見ただけで、その葉っぱの切れ味が分かる。 一発でもくらえば致命傷となる可能性もある。 「クッソ……どうすれば」
/389ページ

最初のコメントを投稿しよう!